Sometimes Happy

縁のひとりごと

デッドエンドの思い出

よしもとばななさんの本。
もう15年以上前になるのかな?
「キッチン」を読んではまってしまい、新しい本が出るたびに買って読んでいましたが、「アムリタ」を最後になぜか読まなくなっていました。
2年ほど前だったか、図書館で久しぶりに「デッドエンドの思い出」を借りてみたのですが、ご無沙汰していたことをすごく後悔しました。
この間、それが文庫本になったので買ったんです。

5つのお話が入っているのですが、タイトルになっている「デッドエンドの思い出」が好きです。
図書館で借りて読んだ時も、今回あらためて読み返しても、同じところで泣けてくるんです。
西山くんという男の子が出てくるのですが、彼が最後の方で話す言葉がとてもよくて。
なんていうか、「わかってくれる人はいるな」と思ったんです。


「俺にはわかるんだ。ああいう人って、ものの見方がすごくパターン化しているんだよ。あのね、ずっと家の中にいたり、同じ場所にいるからって、同じような生活をしていて、一見落ち着いて見えるからって、心まで狭く閉じ込められていたり静かで単純だと思うのは、すっごく貧しい考え方なんだよ。でも、たいていみんなそういうふうに考えるんだよ。心の中は、どこまででも広がっていけるってことがあるのに。人の心の中にどれだけの宝が眠っているか、想像しようとすらしない人たちって、たくさんいるんだ。」

よしもとばなな著「デッドエンドの思い出」(文春文庫)